• 顧客の声
  • 店舗経営
  • スタッフ称賛
  • クチコミ
  • 店舗AIO
  • スタッフバリュー

顧客の声(VoC)とは?店舗企業における集め方・分析・活用方法を解説

顧客の声(VoC)とは何かを店舗企業向けに解説。アンケートやクチコミとの違い、声が生まれる店舗オペレーション、AIを使った分析、スタッフへの還元、販促・多店舗展開への活用まで整理します。

公開日
執筆者
光山 誠一

「顧客の声をもっと活用したい」

店舗企業でも、こうした話を聞く機会が増えています。

一般的には「VoC(Voice of Customer)」と呼ばれ、アンケートやクチコミ、問い合わせなど、お客様から企業へ寄せられるさまざまな声を指します。

実際、企業にはすでに多くの顧客の声があります。

Googleクチコミ、お客様アンケート、NPS、問い合わせ、SNSへの投稿、店舗でスタッフへ直接伝えられる感謝や要望。

では、これらの声を何のために集めるのでしょうか。

不満を見つけるため。サービスを改善するため。顧客満足度を把握するため。

もちろん、どれも重要です。

ただ、私たちは店舗企業における顧客の声には、もう一つ大きな価値があると考えています。

「なぜ、この店舗が選ばれているのか」を知ることです。

顧客の声には、改善してほしいことだけではなく、「なぜこの店舗を選んだのか」「何がうれしかったのか」「なぜまた利用したいと思ったのか」という情報も含まれています。

つまり顧客の声は、悪いところを見つけるデータであると同時に、店舗の強みや良い顧客体験、良いスタッフの仕事を発見するデータでもあります。

そして店舗企業でVoCを活用しようとすると、分析以前にもう一つ重要なことがあります。

現場で自然に声が生まれ、その声が適切な場所へ戻ってくる仕組みをつくれるか。

VoCはデータの話である前に、店舗オペレーションの話でもあります。

この記事では、店舗企業における顧客の声(VoC)の考え方、集め方、アンケートやクチコミとの違い、分析方法、店舗スタッフへのフィードバック、販促への活用まで整理します。

顧客の声(VoC)とは?

VoCは「Voice of Customer」の略で、日本語では一般的に「顧客の声」と呼ばれています。

商品やサービス、店舗での体験について、お客様から生まれる意見、感想、評価、要望などを広く指す言葉です。

店舗企業の場合、VoCはアンケートだけに存在するものではありません。

Googleクチコミのように外部へ公開される声もあれば、本部への問い合わせとして届く声もあります。接客後にスタッフへ直接伝えられる「ありがとう」もあります。

大切なのは、「VoCを集める=アンケートを増やす」ではないということです。

すでに社内外のさまざまな場所に存在しているお客様の声を、目的に合わせて見つけ、理解し、活用していく。店舗企業におけるVoC活用は、そこから始まります。

なぜ店舗企業に顧客の声(VoC)が重要なのか

店舗経営では、多くの数字を見ることができます。

売上、来店数、客単価、成約率、リピート率、予約数、Webサイトへのアクセス、Googleマップの閲覧数などです。

こうしたデータを見ることで、「何が起きたのか」はかなり分かります。

一方、数字だけでは分かりにくいことがあります。

「なぜ、それが起きたのか」です。

なぜ、この店舗を選んだのか。なぜ、また来店したのか。なぜ、家族や友人へ紹介したのか。なぜ、その商品を購入したのか。

スタッフバリューnoteでは、この違いを、行動データが「WHAT」を教え、顧客の声が「WHY」を教えると整理しています。

たとえば、同じ商品を購入した2人でも、「価格が安かったから選んだ」という人と、「初めてで不安だったが、スタッフが一つずつ説明してくれたので、この人から買いたいと思った」という人では、購入理由がまったく違います。

売上データには、どちらも同じ「1件」として記録されます。しかし、顧客の声まで見ると、その売上が生まれた背景が見えてきます。

特に店舗ビジネスでは、商品、価格、立地、設備だけではなく、スタッフとのやり取りそのものが顧客体験の大きな一部になります。

本部がすべての店舗、すべての接客を見ることはできません。だからこそ顧客の声を通じて、**「どこで、どんな良い顧客体験が生まれているのか」**を知ることには大きな意味があります。

店舗企業が顧客の声(VoC)を集める主な方法

店舗企業には、目的の異なる複数の顧客の声があります。

顧客の声主に分かること主な活用先
アンケート満足度、改善要望、利用目的など本部、店舗改善
Googleクチコミお客様が自発的に伝える体験店舗選び、集客
NPSなどの顧客調査顧客評価の継続的な変化本部、経営、CX改善
問い合わせ・クレーム困りごと、要望、問題点サービス改善
SNS自発的な評価や体験評判把握、マーケティング
スタッフ・店舗へのメッセージ印象に残った接客、感謝スタッフ、店長、店舗
顧客インタビュー選択理由や背景にある文脈顧客理解、販促

ここで重要なのは、すべての顧客の声を同じものとして扱わないことです。

アンケートにはアンケートの役割があります。クチコミにはクチコミの役割があります。スタッフへの感謝には、それを本人へ届ける価値があります。

私たちは、**企業に届ける声。スタッフに届ける声。未来のお客様に共有される声。**という違いがあると考えています。

同じお客様の声でも、誰に届けるかによって、生まれる価値が変わるからです。

また、一つのVoCだけを見て「これがお客様全体の意見だ」と考えないことも重要です。

アンケートは企業側が質問を設計します。クチコミには、お客様自身が書こうと思った体験が残ります。問い合わせには、困りごとや不満が集まりやすくなります。

それぞれ、集まる声の性質が違います。だからこそ、**「何を知りたいときに、どの顧客の声を見るのか」**を考える必要があります。

VoCは「集め方」だけでなく、声が生まれる瞬間を設計する

顧客の声を集めようとして、QRコードを店舗に置く。アンケートフォームを用意する。Webサイトにリンクを掲載する。ここまでは比較的簡単です。

ただ、フォームを用意しただけでは、十分な声が集まらないことがあります。

店舗では、誰が、どのタイミングで、どのような言葉でお願いするのかによって、声の集まり方が変わります。

たとえば、お客様から自然に感謝の言葉が出たとき、不安だった表情が説明後に安心した表情へ変わったとき、接客や商談がひと区切りついたとき、リピートしている理由が会話の中に出たとき。

こうした場面は、お客様自身も「今回の体験で何が良かったのか」を言葉にしやすいタイミングです。

ここで大切なのは、満足していそうな人だけを選別することではありません。

人を選ぶのではなく、体験を振り返りやすい瞬間を選ぶ。

という考え方です。

「クチコミを書いてください」より、体験や感謝を聞く

店舗スタッフにとって、「Googleクチコミを書いてください」とお願いすることには心理的なハードルがあります。特に担当スタッフ本人が、自分への評価をお願いするのは難しいものです。

そこで、「今日のご感想をお聞かせいただけませんか」「今回の対応で良かったことがあれば、担当者にも届けさせてください」と、体験や感謝を聞くところから始める方法があります。

これは単なる言い換えではありません。

**「店舗を評価してください」ではなく、「今回の体験を聞かせてください」**というVoCの入口そのものを変える考え方です。

お客様から届いた声がスタッフ本人へ戻れば、それは次にお客様へ案内する理由にもなります。

声が返ってくるから、スタッフが動く。スタッフが動くから、また顧客の声が集まる。こうした循環をつくることも、店舗でVoCを継続するうえでは重要です。

業態によって、VoCを集めるチャネルは変える

すべての店舗に同じVoC収集方法が適しているわけではありません。

スタッフとの接客時間が長く、担当者との関係性が生まれやすい業態では、接客後にスタッフや受付から案内する方法が機能しやすくなります。

一方で、セルフサービスが中心、接客時間が短い、EC購入が中心、来店後にスタッフとの接点がない、といった業態では、店舗スタッフからの声かけを前提にすると続かないことがあります。

その場合は、購入後メール、SMS、LINE、会員アプリなど、顧客体験が終わった後のチャネルの方が自然です。

また、スタッフ個人へのメッセージが適している業態もあれば、個人評価に心理的な抵抗がある業態もあります。その場合は、「店舗へのメッセージ」「担当チームへの感想」「施設での体験」として集める選択肢もあります。

自社が使いたいツールから考えるのではなく、顧客体験のどこに「声を言葉にしやすい瞬間」があるかから考える。

店舗VoCでは、この設計が重要です。

Googleクチコミとアンケートの違い|VoCはどう使い分ける?

店舗企業からよく聞くのが、「すでにお客様アンケートを実施しているのに、クチコミも必要なのか?」という疑問です。

結論として、アンケートとクチコミは両立できます。同じ「顧客の声」でも役割が違うからです。

アンケートは「企業が知りたいこと」を聞く

アンケートでは、企業側が質問を設計できます。接客に満足したか。商品やサービスに改善点はないか。また利用したいか。どこで店舗を知ったか。

同じ項目を継続的に取得できるため、店舗比較やサービス改善にも活用できます。

また、アンケートには、表面化しづらい不満を拾うという重要な役割もあります。

お客様の全員が、不満をスタッフへ直接伝えたり、公開されるGoogleクチコミに書いたりするわけではありません。非公開で答えられるアンケートだからこそ、「説明が少し分かりづらかった」「待ち時間を改善してほしい」といった声を拾えることがあります。

クチコミは「お客様が伝えたい体験」が残る

一方、Googleクチコミでは、お客様自身が印象に残ったことを自由に書きます。

「初めてで不安だったけれど、丁寧に説明してくれた」「無理に勧められず、自分のペースで相談できた」といった具体的な体験が残ることがあります。

そこには、企業側が質問として想定していなかった「選ばれる理由」が含まれることがあります。そしてクチコミは、企業へ届くだけではなく、これから店舗を利用する未来のお客様にも読まれます。

私たちは、**アンケートは企業に届ける声。クチコミは未来のお客様にも届く声。**と捉えています。

既存アンケートがある企業では「増やしすぎない」

アンケートとクチコミは両立できますが、「VoCが重要だから、調査を増やそう」と単純に考えるのも注意が必要です。

すでにNPS調査を行っている。本部アンケートもある。そのうえ店舗から別のフォームを案内する。となれば、お客様もスタッフも負担が増えます。

複数のVoC施策を実施する場合は、既存アンケートで何が分かっているのか、新しく何を知りたいのか、未来のお客様へ公開したい情報は何か、どのタイミングなら依頼が重ならないかを整理します。

仕組みは分ける。役割は尊重する。体験は全体で設計する。

VoC施策を増やすことではなく、必要な声が無理なく集まる状態をつくることが大切です。

VoC分析では「悪いところ」だけを探さない

顧客の声を分析するとき、低評価の理由、クレーム、改善要望、不満に目が向きやすくなります。

もちろん、それらを改善することは重要です。

ただ、VoC活用が「悪いところ探し」だけになってしまうと、別の重要な情報を見落とします。それが、**「自分たちは、なぜ選ばれているのか」**という情報です。

たとえば、「専門的な話を、自分にも分かるように説明してくれた」「前回相談した内容まで覚えてくれていた」「こちらの話を聞いたうえで、本当に必要なものだけ提案してくれた」という声があったとします。

これは単なる「高評価」ではありません。

そこには、お客様がどんな不安や課題を持っていたのか、スタッフが何をしたのか、その結果、何が価値として認識されたのか、という情報が入っています。

つまり顧客の声には、「店舗が選ばれている理由」と、その価値を生み出したスタッフの行動が一緒に残っていることがあります。

私たちは顧客の声を、**「改善点を見つけるためのデータ」だけではなく、「良い仕事を見つけるためのデータ」**としても活用できると考えています。

AIによって、大量の顧客の声を読み解きやすくなった

VoCを活用しようとすると、現実的な課題があります。

読むのが大変です。

数百件、数千件のクチコミやアンケートの自由記述を、一件ずつ読み、分類し、共通点を探すには大きな時間がかかります。

以前から分析すること自体はできましたが、生成AIの普及によって、大量の「言葉」を扱いやすくなりました。

たとえば、評価されているポイントを分類する。よく出てくるテーマを整理する。不満や来店前の不安を分類する。店舗ごとの違いを見る。顧客ニーズの仮説をつくる。販促で伝えるべきテーマを整理する、といった作業です。

POSデータからは「何が売れたか」が分かります。アクセス解析からは「何を見たか」が分かります。そして顧客の声からは、**「なぜ良いと思ったのか」**が分かります。

AIによって、この「WHY」を大量の自由記述から読み解きやすくなったことは、店舗企業のVoC活用にとって大きな変化です。

ただし、AIが出した分類や仮説をそのまま正解とするのではなく、実際の顧客の声や現場の状況と照らし合わせながら確認していくことも重要です。

顧客の声を店舗スタッフへフィードバックする

顧客の声は、本部で分析して終わりではありません。店舗スタッフへ返すことにも大きな価値があります。

たとえば、「接客品質をもっと高めましょう」「お客様に寄り添った接客をしましょう」と言われても、現場からすると少し抽象的です。

一方、「昨日のお客様から、『混んでいる中でも声をかけてくれたので安心した』という声が届いています」と言われれば、何がお客様に喜ばれたのかが具体的に分かります。

さらに、「この対応を他のスタッフでもやってみよう」と共有できれば、一人の良い仕事を店舗全体へ広げられるかもしれません。

本部が、店舗で起こり得るすべての「良い接客」を事前にマニュアルとして定義することは難しいものです。しかし実際に店舗を利用したお客様は、何がうれしかったのかを知っています。

だから顧客の声を集めることは、顧客理解だけでなく、店舗の中で起きている良い仕事を発見することでもあります。

また、スタッフにとって、自分の仕事がお客様の役に立っていると実感できることにも意味があります。

顧客の声を集めれば離職率が下がる、と単純に言えるものではありません。一方で、仕事の意味実感や周囲からの承認、ワークエンゲージメントなどと従業員の働き方との関係は、さまざまな研究でも議論されています。

お客様から届いた具体的な言葉を本人へ返し、**「自分の仕事が、誰にどう役立ったのか」を知る機会をつくる。**これはEXを考えるうえでも意味のある活用方法だと考えています。

ただし、顧客から届いた声の件数だけでスタッフをランキングしたり、人事評価を決めたりすることには慎重さが必要です。

あくまで、「お客様が良かったと感じた体験」を発見する材料の一つとして活用します。

顧客の声から「店舗が選ばれる理由」を見つける

店舗側が考えている自社の強みと、お客様が実際に評価している理由は、必ずしも一致するとは限りません。

店舗側は、「地域密着」「接客が丁寧」「品揃えが豊富」と考えているかもしれません。

一方、実際の顧客の声を見ると、「子どもと一緒でも気兼ねなく相談できた」「専門的なことを、自分にも分かる言葉に変えて説明してくれた」「売ろうとせず、自分に合うものを一緒に考えてくれた」といった、もっと具体的な理由が出てくることがあります。

ここには、**店舗自身がまだ気づいていない「選ばれる理由」**が含まれています。

企業が会議室で考えた「自社の強み」だけではなく、実際に利用したお客様が感じている価値を見る。その積み重ねによって、**「どんな人に、どんな価値を提供している店舗なのか」**が、より具体的に見えてきます。

顧客の声を「販促資産」として活用する

顧客の声から「選ばれる理由」が見つかったら、その情報を店舗の中だけに留める必要はありません。

Webサイト、店舗ページ、SNS、広告、FAQなど、次のお客様へ店舗の価値を伝える情報として活用できます。

生成AIによって、文章をつくること自体は以前より簡単になりました。だからこそ私たちは、「どう書くか」以上に、「何を言うか」を見つけることの価値が高まっていると考えています。

その材料になるのが、実際のお客様の声です。

たとえば、「設備がきれいだった」という声が多い店舗があったとします。そのまま「設備がきれいな店舗です」と発信するだけではありません。

なぜ、お客様は設備の清潔さを評価したのでしょうか。その背景には、「初めて利用するので、清潔で安心できる場所を選びたい」「家族と一緒なので、快適に過ごせる場所がよい」といったニーズがあるかもしれません。

顧客の声を一段深く見ることで、顧客の声 → 選ばれる理由 → 顧客価値 → 販促メッセージへ変えていくことができます。

ネガティブな声も、次のお客様への情報になる

顧客の不満や改善要望も、単に「悪いところ」として見るだけではありません。

お客様が利用後に「事前に知りたかった」と感じたことは、これから利用する人も不安に思う可能性があります。

初心者から同じ質問が多いのであれば、FAQで先に説明する。設備が分かりづらいのであれば、Webサイトに写真を掲載する。商品やプラン選びが難しいのであれば、比較コンテンツをつくる。来店前に分かりにくいことがあれば、動画や店舗ページで説明する。

このように、顧客の声は、改善のためのデータであると同時に、次の集客につながる販促資産にもなります。

多店舗企業では「強い店舗の型」を小さく見つける

多店舗企業では、「A店では顧客の声が多く集まる」「B店では具体的な声が多い」「C店は顧客満足度が高い」といった店舗差が生まれます。

ここで、「あの店長は優秀だから」「スタッフの意識が高いから」で終わらせてしまうのはもったいありません。

顧客の声まで見ると、どんなお客様との接点で、どんな体験が生まれ、何が評価されているのかを探ることができます。

たとえば、「説明が分かりやすい」という声が特定店舗で多く生まれているとします。

実際に店舗へヒアリングすると、最初に全体像を説明している。専門用語を言い換えている。最後に質問がないか確認している。といった共通行動が見つかるかもしれません。

そこまで分かれば、その店舗の成功を「個人のセンス」で終わらせず、他店舗でも活用できる知見へ変えられます。

最初から全店舗で始めなくてもよい

多店舗企業では、最終的に全店展開を目指すケースも多いと思います。ただ、VoCはツールを導入するだけではなく、現場の行動変化を伴います。

そのため、協力的な店舗で始める。声をかけるタイミングを試す。案内する言葉を変えてみる。どんな顧客の声が集まったかを見る。スタッフに声を返したときの反応を見る。うまくいった方法を簡単な運用ルールにする。類似した店舗へ広げる。という進め方も有効です。

顧客の声 → 良い顧客体験の発見 → スタッフ行動の理解 → 運用として標準化 → 他店舗への横展開までできれば、一店舗の成功が会社全体の知見になります。

見るべき指標も、回答数だけとは限りません。案内が現場で実行されたか。具体的な顧客体験が集まったか。スタッフへ声が返ったか。店舗改善や販促に使われたか。といったプロセスまで見ることで、VoCが本当に活用されているかを確認できます。

顧客の声を「届ける」ための社内運用を決める

顧客の声が集まっていても、担当部署しか見ていない。店舗へ返されていない。販促担当は存在を知らない。良い声があるのにWebでは使われていない。ネガティブな声を誰が確認するのか決まっていない。といった状態になることがあります。

VoCを活用するためには、**「誰に届けるか」だけではなく、「誰が運用するか」**まで決める必要があります。

たとえば、誰が一次確認するのか。店舗へどの頻度で返すのか。改善が必要な声を誰が引き取るのか。販促で利用できる声を誰が選ぶのか。外部発信に必要な利用許諾をどう管理するのか。実際に改善・発信した後の変化をどう見るのか。といったルールです。

VoC活用で起きやすいのは、**「顧客の声は重要だと分かっている。でも、その後どうするか決まっていない」**という状態です。

だからこそ、最初から完璧なデータ基盤をつくることより、声を集める。見る。返す。必要な人が動く。という小さな運用を回すことが重要です。

AI検索時代、顧客の声が店舗情報として重要になる理由

顧客の声には、店舗の中だけではなく、外へ向けた価値もあります。

これまでは、「渋谷 パーソナルジム」「横浜 美容室」のようなキーワードで店舗を探すことが一般的でした。

現在はAIに、「運動初心者なので、一つずつ丁寧に説明してくれるジムを探したい」といった具体的な条件を相談することもできます。

こうした店舗選びでは、住所や営業時間、料金だけでは十分ではありません。

誰が。どんな状況で。何に困っていて。店舗のどんな対応に価値を感じたのか。という具体的な文脈が重要になります。

たとえば、「初めてで不安だったけれど、丁寧に説明してもらえた」「子ども連れでも気兼ねなく利用できた」という顧客の声には、**「誰が、どんな状況で、何に価値を感じたのか」**が含まれています。

これは、「その店舗がどんな相談や顧客に向いているのか」を知るための情報でもあります。

ただし、**「顧客の声を増やせばAIに選ばれる」**と単純化するものではありません。

重要なのは、店舗で実際に生まれている顧客体験を知り、その価値をクチコミやWebサイトなど、適切な場所へ継続的に残していくことです。

AI検索時代の店舗集客については、「店舗AIOとは?MEOとの違いとAI検索対策を独自調査で解説」でも詳しく紹介しています。

店舗企業がVoC活用を始める5つのステップ

ここまでの内容を、実際に始める流れとして整理します。

1.何を知りたいのか決める

サービスの課題を知りたい。店舗が選ばれる理由を知りたい。良い接客を発見したい。来店前の不安を知りたい。目的によって、見るべき声は変わります。

2.すでにある顧客の声を整理する

アンケート、Googleクチコミ、問い合わせ、NPS、SNS、店舗やスタッフへの感謝。新しい施策を増やす前に、すでに存在するVoCを確認します。

3.顧客体験のどこで声を集めるか決める

誰が。いつ。何を使って。どんな言葉で。案内するのかを考えます。業態や接客スタイルに合わせ、店頭、メール、アプリなどのチャネルも選びます。

4.集まった声を理解し、届け先を決める

AIなども活用しながら、自由記述を分類し、「WHY」や選ばれる理由を探します。

改善要望なら本部。接客への感謝ならスタッフ。店舗の成功パターンなら店長や他店舗。具体的な顧客体験なら未来のお客様。声によって届け先を変えます。

5.顧客の声を行動へ変える

店舗改善をする。良い接客を共有する。スタッフへフィードバックする。FAQを増やす。Webサイトで店舗の魅力として発信する。

集める → 理解する → 適切な相手へ返す → 行動へ変える。

ここまでつながって初めて、顧客の声が店舗経営の中で活用され始めます。

顧客の声(VoC)に関するよくある質問

VoCとアンケートは同じものですか?

同じではありません。アンケートは、VoCを集める方法の一つです。店舗企業には、Googleクチコミ、NPS、問い合わせ、SNS、店舗やスタッフへのメッセージなど、アンケート以外にもさまざまな顧客の声があります。

GoogleクチコミもVoCに含まれますか?

本記事では、Googleクチコミも顧客の声の一つとして捉えています。ただし、アンケートとクチコミでは役割が異なります。アンケートは企業側が知りたい内容を質問し、顧客理解や改善に使いやすい一方、クチコミはお客様自身が印象に残ったことを自由に書き、未来のお客様の店舗選びにも使われます。

VoCとNPSの違いは何ですか?

VoCは、お客様から得られる意見、感想、評価、要望などを広く捉えた概念です。NPSは、顧客からの評価を把握するための一つの指標・調査手法として位置づけられます。

顧客の声は多ければ多いほどよいのでしょうか?

一定量を集めることは重要ですが、件数だけを追えばよいわけではありません。「良かったです」という声が100件あることと、「なぜ良かったのか」が具体的に分かることは別です。VoCでは、量を確保しながら、**「何が評価され、なぜそう感じたのか」**まで読み解くことが重要です。

ネガティブな顧客の声とポジティブな声は、どちらが重要ですか?

どちらも重要です。ネガティブな声からは改善すべき課題を発見できます。一方、ポジティブな声からは、「なぜこの店舗が選ばれているのか」「どんなスタッフ行動がお客様に喜ばれているのか」を知ることができます。

顧客の声をAIで分析できますか?

可能です。生成AIを使うことで、自由記述の分類、頻出テーマの整理、ポジティブ・ネガティブ要因の把握、店舗ごとの特徴整理などを行いやすくなっています。ただし、AIが出した分析結果をそのまま事実とせず、実際のコメントや現場の状況と照らして確認することが重要です。

顧客の声をスタッフ評価に使ってもよいですか?

顧客の声は、スタッフの良い仕事を知る材料にはなります。一方、集まったメッセージの件数だけでスタッフを評価したり、ランキングしたりすることには慎重さが必要です。まずは本人へのフィードバックや称賛、成功事例の共有などに活用し、「お客様が良かったと感じた体験」を発見する材料として扱うことをおすすめします。

多店舗企業ではVoCをどう活用すればよいですか?

最初から全店舗へ同じ運用を導入するのではなく、まず協力的な店舗などで試し、声をかけるタイミングや方法を検証する方法があります。成果の出ている店舗で共通する行動が見つかったら、簡単な運用ルールへ落とし、他店舗へ横展開していきます。

顧客の声はマーケティングにも活用できますか?

活用できます。顧客の声には、企業側が気づいていなかった「選ばれる理由」が含まれていることがあります。そこから顧客にとっての価値を整理し、Webサイト、広告、SNS、FAQ、店舗ページなどへ反映することで、次のお客様へ店舗の魅力を伝える材料になります。

顧客の声を「集めて終わり」にしない

店舗企業には、すでにたくさんの顧客の声があります。

アンケート。クチコミ。NPS。問い合わせ。SNS。店舗やスタッフへの感謝。

問題は、声がないことではないのかもしれません。

集めた声が、そのままになっていること。

不満を改善する。それだけではなく、選ばれている理由を知る。良い仕事を発見する。スタッフへ返す。店舗で共有する。次のお客様へ伝える。

顧客の声には、店舗の中を良くする役割と、店舗の外へ価値を伝える役割の両方があります。

店舗の中では、良い顧客体験 → 顧客の声 → スタッフや店舗へ返る → 良い仕事が共有される → 次の良い顧客体験という循環があります。

店舗の外では、良い顧客体験 → 顧客の声 → 選ばれる理由を知る → 次のお客様へ伝える → 新しい来店につながるという循環があります。

その両方をつないでいるものが、顧客の声です。

だから、VoCを「収集して分析するデータ」で終わらせない。そして、分析ツールを導入するだけでも終わらせない。

店舗で自然に声が生まれ、その声が最も価値を生む場所へ返っていく仕組みをつくる。

それが、店舗企業におけるVoC活用で大切なことだと私たちは考えています。

スタッフバリューについて

スタッフバリューは、お客様から店舗やスタッフへの感謝や具体的な顧客体験を集め、その声を店舗やスタッフの価値として活用するサービスです。

私たちが目指しているのは、顧客の声を集めること自体ではありません。

お客様から届いた声をスタッフ本人へ返す。店舗で良い接客を発見する。成功事例として共有する。店舗が選ばれている理由を知る。Webサイトや店頭、クチコミなどを通じて、その価値を次のお客様にも届けていく。

そして、大量の顧客の声を読む、整理する、活用できる情報へ変えるといった負荷には、AIも活用する。

お客様から届いた一つの声を、「集めて終わり」にしない。

その声が最も価値を生む場所へ届け、店舗とスタッフの価値へ変えていく。

スタッフバリューでは、そんな顧客の声の活用を支援しています。

執筆者

光山 誠一

ソウルドアウト株式会社

  • ローカルマーケティングソリューション本部 本部長
  • スタッフバリュー事業責任者

Googleマップを中心とした店舗マーケティング支援に従事。

Googleマップ、クチコミ活用、店舗AIOなど、多店舗企業の店舗マーケティング領域を中心に調査・情報発信を行う。

執筆した記事を見る

関連記事

スタッフへの応援を、店舗の集客資産に。

顧客の声の収集からGoogleクチコミの案内、店頭掲示、スタッフ称賛までの活用方法をサービス資料でご紹介しています。